佳境のJ1残留争い。降格するチームを予想してみる

いよいよJ1も大詰め。残り3試合。
普通ならば、優勝争いが注目されてしかるべきだが、今のコンペティションでは残り3試合はリーグ優勝にあまり関係がない。というのも2ndステージは浦和がほぼ優勝確実で、年間優勝は浦和か川崎だが、川崎が3位以内に入るのは確実なので、CSに出るのは、1st王者の鹿島、2nd王者の浦和、年間3位以内の川崎の3チームでほとんど確定しているからだ。

一方残り試合で、生きるか死ぬかがはっきりするのは残留争いだ。
現時点で福岡の降格は決定している。やはりJ2プレーオフから上がってきたチームは例年通り厳しかった。
これから降格する可能性があるチームは湘南、甲府、名古屋、新潟、磐田で、その中から2チームが降格することになる。
下が順位表である。
1チームずつ見ていき、どのチームが降格するか予想してみたい。

17位 湘南ベルマーレ 降格

【残り試合】
vs 大宮(A)
vs 甲府(H)
vs 名古屋(A)

勝ち点21で残留圏の名古屋と勝ち点8差の湘南。
残留するためにはここ3か月勝利がない湘南が、残り3試合全勝し、2連勝中の名古屋が残り3試合全敗しなければならない。その可能性はとても低いことがわかるだろう。
仮に名古屋が1分け2敗で、3連勝した湘南と勝ち点が30で並んだとしても得失点差で名古屋が13上回っているので、残留には届かない。

湘南のサッカーは一人ひとりがさぼらず全員守備、全員攻撃を体現していて面白かったが、残酷なことにサッカーは「頑張り」以外の多くの要素が勝敗を左右すると湘南の試合を見ていると思う。
湘南は毎試合相手より走行距離が多い、それには走っているときもあれば走らされているときもある。ただどっちの場合でも今シーズン湘南はあまり勝つことができなかった。多くの試合で特にゴール前において技術、決定力、意外性、勝負強さなどで劣っていた。
しかし湘南ほど毎試合持っているものを出し切るという姿勢で、見ていて気持ちの良い試合を見せてくれるチームは少ない。J2に行っても来シーズン注目したいチームの一つだ。
 

16位 ヴァンフォーレ甲府 残留

【残り試合】
vs 福岡(A)
vs 湘南(A)
vs 鳥栖(H)

現在甲府の勝ち点は28で15位の名古屋と勝ち点1差だ。
前節ホームでマリノスに完敗し、新潟、名古屋に一気に抜かれ降格圏に落ちてしまったが全く問題ない。
なぜなら甲府の残り試合の相手は強くないからだ。18位、17位、12位のチームだ。
甲府の残留の目安は3試合であと勝ち点6だ。勝ち点34までもっていけば降格は回避できる。
最初の福岡は相手にとってはもうすでに降格が決まっているので消化試合だ。その次の湘南戦も同様の状況になっている可能性が高い。
つまり、最初の2試合甲府は相手より圧倒的に高いモチベーションで試合に臨むことができる。ここで、仮に1勝1敗でも最後ホームで迎える鳥栖戦に勝てばよい。

甲府が残留するための条件は9月半ばに全治6週間のケガを負ったエースのドゥドゥの復帰だ。キープ力、突破力、決定力を兼ね備えるドゥドゥがいるだけで甲府の得点力は格段にアップする。既にランニングは始めているとのことなので、10月22日までにトップコンディションに持っていけるかどうかは微妙なところだろう。
ダヴィもここ数試合で復調の兆しを見せているが、ドゥドゥがいなければマークが集中してしまうのでゴールするのは難しい。ドゥドゥがいれば、チャンスメイクもしてくれるし、マークを分散させることもできるので、ダヴィが活躍できる可能性も高くなる。

ただ何といっても甲府の何よりの強みはここ3年連続残留をしているというチームとしての経験だ。甲府には多くのベテランがいるが、彼らが残留の仕方を知っているのはメンタル的にも戦術的にも大きい。全員がやるべきことを理解し、それを遂行できる甲府のようなチームはしぶとく残留をつかみ取るだろう。
 

15位 名古屋グランパス 残留

【残り試合】
vs 磐田(H)
vs 神戸(A)
vs 湘南(H)

勝ち点29でギリギリ残留できる15位につける名古屋。
小倉監督のときは18試合勝利がないなど、地獄のようなシーズンを送っていたが、闘莉王が返ってきてからは5戦3勝1分け1敗とV時回復を見せている。闘莉王が返ってきた一番の影響は主力2人の復活に如実に出ている。
田口は、チームを引っ張らなければならない重圧から解放されてか、精度の高いパス、タイミングの良い飛び出しを取り戻し、永井も、前節ハットトリックしたように、思い切りのよいドリブル、シュートなど、完全に自信を取り戻した。
そんな最高の状態で迎えるラスト3試合で、名古屋は勝ち点6とれば確実に残留できる。そしてそれは難しくない。

初戦はホームで磐田を迎える。彼らは前から激しいプレッシャーをかけてくるわけではないので、闘莉王と田口は自由にボールを持つことができ、精度の高いキックを蹴れるだろう。また、磐田のサイドバックは1対1に強くないので、サイドは永井のスピードで制圧できることは間違いない。磐田の外国人2人、アダイウトンの強さとスピード、ジェイの高さは脅威だが、ストロングポイントがはっきりしているFWを周りを動かしながら抑えるのは闘莉王のお手の物だ。ホーム磐田戦は名古屋が勝つだろう。

次の過去最強の神戸を相手に白星をゲットできるかどうかは危ういが、最終の湘南戦はもう相手にとって消化試合なので、名古屋が勝つことは難しくない。元々、戦力的には名古屋はこの順位にいるチームではない。
主力が自信を取り戻し、チームとして正常に機能してる今、3戦2勝はするはずなので、残留と予想。
 

14位 アルビレックス新潟 残留

【残り試合】
vs 浦和(H)
vs G大阪(A)
vs 広島(H)

勝ち点30で14位につける新潟だが、多くの人は降格候補筆頭と考えているのではないだろうか。
なぜならこれからの対戦相手が、浦和、G大阪、広島とすべて格上だからだ。ただ、私は新潟が残留できると考えている。これからの勝敗を予想してみよう。まず残留のために必要な勝ち点は33か34だろう。なので、1勝では残留できるかどうか微妙、2勝すれば残留確定だ。

最初の浦和戦は新潟が勝つことはできないと考えている。よくて引き分けだろう。理由は単純で、今の浦和が強すぎるからだ。個人能力が高い上に守備も攻撃も組織的で、何より今は勝負強さを備えている。そしてベンチにもほぼスタメンと同じレベルの選手たちが控えている。
浦和の強さはペトロビッチ監督のもと、我慢強く5年かけて作り上げてきたもので、監督が代わってまだ1試合しかこなしていない新潟がそれを上回るのは不可能に近い。それは前節劇的勝利を収めて勢いにノッていることや、格上を苦しめるのが得意なこと、ホームで浦和を5-0で倒したことがあることなどのプラス材料を差し引いても変わらない。
ただ、G大阪、広島には全然勝機がある。前節の磐田戦のように奪ってからシンプルに裏を狙う攻撃をすれば十分脅威になる。これまでのつなぐことに固執するサッカーは新潟の選手の良さを消してしまっていた。
新潟の攻撃陣は、正確な長短のキックをもつレオシルバ、ボールを納めるのがうまい指宿、スピードと推進力が武器の鈴木武蔵、ドリブルでゴリゴリ運べるラファエルシルバと山崎など特徴がはっきりしている選手が多い。そして彼らの良さを生かせるのが、ボールを奪ってから、相手のDFの人数がそろう前に少ない手数でゴールに迫る戦術だ。前節はそれを徹底したことによって勝利を手にした。今シーズンのG大阪、広島のディフェンスは強くないので、新潟は点を取れるはずだ。

新潟が残留すると私が考えるもう一つ理由は、一体感だ。前節の試合の選手、監督、サポーターのチームとしての一体感はこれまでの新潟にないものだった。これは私の感覚的なものだが、新潟の今の雰囲気は降格するチームの雰囲気ではない。新潟は、G大阪、広島を倒し、残留を勝ち取ると予想。
 

13位 ジュビロ磐田 降格

【残り試合】
vs 名古屋(A)
vs 浦和(H)
vs 仙台(A)

意外かもしれないが、私は現時点で最も有利な磐田が降格すると思っている。
なぜなら残留を争うチームの中で、残留争いに対して磐田だけ圧倒的にメンタル的な準備ができていないからだ。1stは8位で終え、残留争いとは程遠いところにいた。だが、2ndに入り全然勝てなくなり、最後の最後に残留争いに巻き込まれてしまっている。おそらく今磐田は「こんなはずじゃなかった」「1年でJ2に逆戻りするわけにはいかない」と焦っていることだろう。

そういう気持ちはふとしたところに表れてしまう。
前節の新潟戦の試合終了後のインタビューで名波監督はインタビュアーの松原良香さんが話している途中にも関わらずその場を去った。(スカパーオンデマンドで磐田vs新潟の2:22~)
人が話しているのを無視して去ることが人として模範的な態度ではないことは誰でもわかるだろう。ただ、私は監督がこんな態度をとるチームが試合に勝てるわけがない、などという安直な批判をしたいわけではない。
ここでのポイントは、普段は負けた試合の後でもインタビューにきちんと応対している名波監督が、新潟戦の後はあのような態度をとったことだ。それは名波監督自身が、残留争いのプレッシャーに耐えられるだけの力量がないと宣言したに等しい。
なぜなら、大事な試合で勝つためには、やらなければならないことをきちんとやれるかどうか、重要な局面でも平常心を保てるどうかが勝敗を左右するからだ。果たして、負けた試合後のインタビューで普段できる応対ができなくなる監督が、残り3試合、さらなるプレッシャーの中で、落ち着いた采配や指示ができるのかどうか。その監督に率いられる選手たちが、プレッシャーのかかる局面で、普段決められるシュートを ”いつものように” 決められるか、なんでもないパスを ”いつものように” 通せるのか。
もっといえば、態度が悪いという理由でジェイをメンバー外にしたことがあるにも関わらず、自分の態度が悪い監督を選手が信頼できるかどうか。

ラスト3試合の相手のレベルは関係ない。2ndステージで磐田が勝ったのは、最下位の福岡だけだ。3チームとも福岡より強い。
今は甲府、名古屋、新潟を勝ち点で上回っているが、おそらくこの3チームは最終的に勝ち点34以上にもってくるだろう。勝ち点33のまま残留できるほど甘くはない。
崖っぷちの状況で、ジェイとカミンスキーが怪我の治療や家庭の事情で一時帰国したり、藤田の不倫が発覚したり、磐田には明らかな逆風が吹いている。今の磐田にこの逆境に打ち勝つ力があるとは思えない。なのでこれから3連敗して降格する、というのが私の予想だ。